2025.06.16

グローバル採用におけるビザ・法律・コストの考え方

1. はじめに

海外人材の採用は、日本企業にとって競争力を高める重要な戦略の一つです。しかし、海外人材の採用には、ビザ取得の手続き、労働法の遵守、コスト管理といった課題が伴います。

本記事では、新卒採用を強化しようと考える経営者向けに、グローバル採用におけるビザ・法律・コストの具体的なポイントを定量データを交えて解説します。


2. ビザ(VISA)取得の基本とポイント

2-1. 日本で働く外国人の主要なビザ種類

ビザ種類対象職種在留期間必要な条件
技術・人文知識・国際業務ビザITエンジニア、マーケター、コンサルタント1〜5年学歴・実務経験要件あり
高度専門職ビザ高度な専門知識を持つ人材5年(永住権の優遇あり)年収・職歴・学歴によるポイント制
特定技能ビザ介護・建設・宿泊など14業種1〜5年技能試験・日本語能力要件あり

外国人が日本で働くためには、技術・人文知識・国際業務ビザが最も一般的です。特に、新卒で海外大卒の人材を採用する場合、このビザの取得が重要になります。

2-2. ビザ取得プロセスと期間

手続き必要期間申請先
在留資格認定証明書の取得1〜3ヶ月出入国在留管理庁
在留資格変更手続き2週間〜2ヶ月出入国在留管理庁
在留カード発行即日(空港で発行)入国管理局

ビザ取得には通常1〜3ヶ月かかるため、採用スケジュールに組み込んでおく必要があります。

2-3. 企業が負担すべきサポート

項目費用目安重要度
ビザ申請費用3万〜10万円
弁護士・行政書士費用10万〜30万円中〜高
住居手配・初期支援10万〜50万円

企業が適切なサポートを提供することで、外国人社員の定着率が向上します。


3. 労働法とコンプライアンスのポイント

3-1. 日本の労働法における外国人雇用のルール

項目日本人社員外国人社員
労働時間制限40時間/週同じ
最低賃金地域ごとに適用同じ
社会保険加入義務義務

外国人社員であっても、日本の労働法は適用されるため、特別な待遇は不要ですが、就労ビザの条件に基づいて雇用契約を結ぶ必要があります。

3-2. 外国人雇用に関する注意点

  1. 雇用契約書の明確化:給与、勤務地、業務内容を詳細に記載
  2. 労働基準法遵守:残業代の支払い、労働時間管理
  3. 日本語研修の実施:業務遂行のためのサポート

特に、外国人社員が企業文化に適応できるよう、言語研修や異文化適応支援を行うことが望ましいです。


4. グローバル採用にかかるコスト

4-1. 採用コストの比較(国内 vs 海外)

採用項目国内新卒海外新卒
採用広告費30万〜100万円50万〜200万円
面接・選考費10万〜50万円20万〜100万円(渡航費含む)
ビザ取得関連費なし10万〜50万円
研修費30万〜100万円50万〜150万円

海外新卒の採用には、日本国内よりも約1.5倍〜2倍のコストがかかるケースが多いです。

4-2. 採用コストを抑える方法

方法コスト削減効果
リモート面接の導入渡航費削減(10万〜50万円)
インターンシップ採用本採用時の適性判断コスト削減
国際的なジョブフェア活用広告費削減(20%程度)

特に、海外大卒者をターゲットにする場合、リモート面接ジョブフェアの活用がコスト削減に効果的です。


5. まとめ

グローバル採用を成功させるためには、ビザ・法律・コストの各要素を適切に管理することが重要です。

  1. ビザ取得には1〜3ヶ月かかるため、採用スケジュールに余裕を持つ
  2. 外国人社員のための法的対応を適切に行い、労働基準法を遵守する
  3. 海外採用は国内採用の1.5〜2倍のコストがかかるため、効率的な採用手法を活用する
  4. コスト削減にはリモート選考やジョブフェアを活用するのが効果的

これらのポイントを押さえることで、グローバル採用を円滑に進め、企業の競争力を高めることができます。