2025.05.20
内定辞退を防ぐためのオファー面談戦略

1. はじめに
新卒採用において、せっかく優秀な人材に内定を出しても、辞退されてしまうことは多くの企業にとって大きな課題です。特に、ベンチャー企業は大手企業に比べて知名度や安定性で不利な立場にあるため、慎重にオファー面談を設計する必要があります。
本記事では、新卒採用を強化しようと考える経営者向けに、内定辞退を防ぐためのオファー面談戦略について、定量データを交えながら解説します。
2. 内定辞退の現状と原因
2-1. 新卒の内定辞退率の推移
年度 | 内定辞退率(全体) | 大手企業 | ベンチャー企業 |
2019年 | 60.2% | 45.8% | 71.3% |
2020年 | 55.1% | 42.3% | 66.7% |
2021年 | 61.4% | 47.2% | 72.9% |
2022年 | 64.8% | 50.1% | 75.5% |
※参考:マイナビ・リクナビ調査データ
ベンチャー企業の内定辞退率は、大手企業よりも約20%高い傾向にあります。
2-2. 内定辞退の主な理由
- 他社の方が条件が良い(給与・福利厚生・安定性)(42.5%)
- 企業の将来性が不安(21.7%)
- 企業文化・社風が合わないと感じた(18.3%)
- 業務内容に対する不安(10.8%)
- 入社後の成長が見えにくい(6.7%)
このデータをもとに、内定辞退を防ぐためのオファー面談戦略を構築することが重要です。
3. 内定辞退を防ぐためのオファー面談戦略
3-1. 「条件」ではなく「ビジョン」を伝える
新卒学生は短期的な給与だけでなく、「この会社で働くことでどのような成長ができるか?」を重視します。オファー面談では、以下のようなポイントを伝えることが有効です。
- 会社の成長ビジョン(例:「当社は3年以内に売上を10倍にする計画を持っている」)
- 業界の将来性と企業のポジショニング(例:「今後5年で市場規模が3倍になる領域で事業展開している」)
- 社員の成長ストーリー(例:「3年でマネージャーになった社員がいる」)
3-2. 給与・福利厚生を相場以上に見せる工夫
ベンチャー企業は大手企業と比べて給与面で不利なケースが多いため、以下の工夫をすると効果的です。
項目 | 大手企業の相場 | ベンチャー企業の競争力のある設定 |
初任給 | 25万〜30万円 | 23万〜27万円+ストックオプション |
ボーナス | 年2回(5ヶ月分) | インセンティブ制(成果連動) |
福利厚生 | 住宅補助・家賃補助 | 書籍購入補助、ジム利用補助 |
昇給スピード | 3〜5%/年 | 10〜15%/年(成果次第) |
特に、「給与は大手に劣るが、成果次第で早期に昇給できる」点を強調することで、新卒にとって魅力的なオファーを提示できます。
3-3. 内定者フォローの重要性
オファー面談後も、内定者フォローを強化することで辞退率を下げることが可能です。
フォロー施策 | 実施企業の内定辞退率 |
何もしない | 75.5% |
1回のフォロー | 62.3% |
定期的なフォロー(3回以上) | 41.8% |
定期的なコミュニケーションを取ることで、内定者の不安を軽減し、企業へのロイヤルティを高めることができます。
具体的なフォロー施策例
- 内定者向けイベント:懇親会や社員との座談会を実施
- 定期的な連絡:人事担当者が個別面談を行い、不安点をヒアリング
- メンター制度の導入:現場社員を内定者メンターとしてアサイン
4. まとめ
内定辞退を防ぐためには、オファー面談を単なる「条件提示の場」にせず、企業の魅力を最大限伝えることが重要です。そのために、以下のポイントを意識しましょう。
- 条件よりも「ビジョン」を伝える(会社の成長ストーリー・社員のキャリアパス)
- 給与・福利厚生を相場以上に見せる工夫をする(ストックオプションやインセンティブを活用)
- 内定者フォローを強化する(定期的なイベントやメンター制度を導入)
これらの施策を実施することで、ベンチャー企業でも優秀な新卒人材の内定辞退を防ぎ、入社へとつなげることができます。