2025.05.19
優秀層を惹きつける「ストックオプション活用法」

1. はじめに
優秀な新卒人材を獲得するために、ストックオプション(SO)は強力な武器となります。特に、給与水準で大手企業と競争するのが難しいベンチャー企業にとって、将来的なリターンを提供できるストックオプションは魅力的なインセンティブです。
本記事では、新卒採用を強化したい経営者向けに、ストックオプションを活用する具体的な方法を定量データを交えながら解説します。
2. ストックオプションの基本
2-1. ストックオプションとは?
ストックオプションとは、企業が特定の社員に対して、将来的にあらかじめ決められた価格で自社株を購入できる権利を付与する制度です。
2-2. ストックオプションの導入率
企業規模 | ストックオプション導入率 |
上場企業 | 70%以上 |
未上場ベンチャー(レイター期) | 50%以上 |
未上場ベンチャー(アーリー期) | 30%前後 |
未上場のベンチャー企業でも、成長フェーズに応じてストックオプションを活用する企業が増えています。
3. ストックオプションの活用法
3-1. 新卒向けストックオプションの設計
フェーズ | 付与割合(年収の何倍) | 行使価格の設定 |
シード・アーリー期 | 3〜5倍 | 低価格で設定 |
ミドルステージ | 2〜3倍 | 成長を加味して設定 |
レイター期 | 1〜2倍 | 市場価値に近い価格 |
新卒にとってストックオプションの価値が分かりやすいように、具体的なリターンシミュレーションを提示することが重要です。
3-2. 企業成長とともに報酬が増える設計
- 業績連動型ストックオプション:業績目標を達成した場合に追加付与
- リテンション設計:一定の在籍期間を満たすとオプションを行使可能
- キャリア成長連動:昇進とともにオプション量を増やす
このように、企業の成長と社員のモチベーションを結びつける仕組みを構築することが重要です。
4. 競争力を高めるストックオプションの工夫
4-1. ストックオプションのリスクヘッジ
リスク | 対応策 |
株価が上がらないリスク | 基本給+SOのバランスを調整 |
行使時の税負担 | 信託型SOや退職後の行使期間延長 |
株式流動性の欠如 | 自社株買取制度の導入 |
4-2. ストックオプションの成功事例
- メルカリ:未上場時からストックオプションを積極活用し、上場時に多くの社員がリターンを得た
- freee:経営幹部だけでなく、新卒社員にもストックオプションを提供し、長期的なエンゲージメントを確保
5. まとめ
ストックオプションは、新卒採用市場において競争力を高める有効な手段です。特に、以下のポイントを意識することで、優秀層を惹きつけることができます。
- フェーズに応じた適切な付与設計(年収の何倍かを基準に設計)
- 企業成長と報酬が連動する仕組み(業績連動、キャリア成長連動)
- リスクヘッジの仕組みを導入(税制・流動性対策)
ストックオプションの設計を工夫することで、大手企業にはない魅力を提供し、長期的な視点で優秀な新卒人材を確保することが可能になります。