2025.05.16

給与テーブルの決め方!ベンチャーが新卒に提示すべき金額とは?

1. はじめに

ベンチャー企業が新卒採用を強化する際、最も重要な要素の一つが「給与テーブルの設計」です。適切な給与を提示することで、優秀な人材の獲得が可能になり、企業の成長スピードを加速させることができます。しかし、給与を高く設定すれば良いというわけではなく、企業の財務状況や市場相場と照らし合わせて適切な水準を決める必要があります。

本記事では、新卒採用を強化しようと考えている経営者向けに、具体的な給与テーブルの決め方と、新卒に提示すべき給与水準について、定量データを交えながら解説します。


2. 給与テーブルの基本概念

給与テーブルとは、企業内の各職種・役職ごとに定めた給与の基準を示したものです。新卒採用においては、以下の要素を考慮して給与テーブルを設計する必要があります。

2-1. 給与設計のポイント

  • 初任給の水準
  • 昇給・評価制度
  • 市場相場との比較
  • 競争力を持たせるためのインセンティブ設計
  • 自社の財務状況とのバランス

企業が長期的に成長し、新卒社員が安心してキャリアを築ける環境を提供するために、これらの要素を適切に設計することが不可欠です。


3. ベンチャー企業における新卒の給与相場

3-1. 日本国内における新卒給与の平均

日本の大手企業とベンチャー企業の新卒初任給の相場を比較すると、以下のような傾向があります。

企業規模平均初任給(学部卒)平均初任給(修士卒)
大手企業23万〜27万円25万〜30万円
中堅企業22万〜25万円24万〜28万円
ベンチャー企業20万〜25万円22万〜27万円

※参考データ:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」

このデータから、ベンチャー企業は大手企業と比較すると初任給が若干低い傾向にあることが分かります。しかし、給与以外のインセンティブ(ストックオプション、成果報酬制度など)を加えることで、総合的な報酬パッケージを競争力のあるものにすることができます。


4. ベンチャー企業が新卒に提示すべき給与水準

4-1. 財務状況別の適正給与設定

ベンチャー企業の財務状況に応じた適正な給与設定の目安を以下に示します。

財務状況推奨初任給(学部卒)推奨初任給(修士卒)
シード・アーリー期(売上1億円未満)20万〜23万円22万〜25万円
ミドルステージ(売上1億〜10億円)23万〜27万円25万〜30万円
レイター期(売上10億円以上)25万〜30万円28万〜35万円

このように、企業の成長フェーズごとに適切な給与水準を設定することが重要です。シード期の企業では給与を抑えつつストックオプションなどで補い、レイター期になるにつれて給与水準を引き上げる戦略が有効です。

4-2. 業界別の給与相場との比較

業界ごとに新卒給与の相場が異なるため、自社がどの業界と競争するのかを意識して給与を設定する必要があります。

業界平均初任給(学部卒)
IT・ソフトウェア25万〜30万円
コンサルティング28万〜35万円
製造業22万〜26万円
小売・サービス業20万〜24万円

IT・コンサル業界では競争が激しく、比較的高い給与が提示される傾向があります。特にエンジニア職やデータサイエンス職は給与水準が高く、競争力を持たせるためには25万円以上の初任給を設定する必要があります。


5. 給与とあわせて設計すべき報酬制度

新卒採用において、給与だけでなく以下の報酬制度を組み合わせることで、魅力的なオファーを作ることができます。

  • 昇給制度: 1年目の給与は抑えめにし、成果に応じた昇給を用意
  • 成果報酬型のインセンティブ: 営業職などは成果に応じたインセンティブを設計
  • ストックオプション制度: 成長フェーズのベンチャーにとっては有力な報酬手段
  • 住宅手当・福利厚生: 初任給が低めの場合でも、住居補助などで補填可能

特にストックオプションをうまく活用することで、現時点での資金負担を抑えつつ、将来の企業成長に応じた報酬を提供できます。


6. まとめ

新卒採用を強化する際には、給与テーブルを適切に設計することが重要です。ベンチャー企業では、財務状況や業界特性に応じて適切な給与を設定し、ストックオプションや成果報酬などのインセンティブを活用することで、競争力のある報酬制度を構築できます。

特に、優秀な新卒を獲得し、定着させるためには、単なる給与額だけでなく、キャリアパスや昇給制度、福利厚生を含めた総合的な報酬設計が求められます。自社のフェーズに適した戦略を採用し、長期的な視点で給与テーブルを構築していきましょう。